IP外反母趾
IP外反母趾
外反母趾には、親指の第1関節だけ外反しているもの、第2関節だけ外反しているもの、第1・2関節の両方が外反しているものがあります。
(IP外反母趾)
医学用語では、親指の第1関節をIP関節、第2関節をMTP関節と呼んでいるので、親指の第1関節だけが外反しているものはIP外反母趾と呼ばれています。
私はIP外反母趾で痛みを訴えるケースに遭遇したことはありませんが、変形が進行して親指が第2趾とぶつかり指の間にタコができて痛みが出たケースには遭遇した経験はあります。
(親指に圧迫されてできた第2趾のタコ)
(第2趾に圧迫されて親指できたのタコ)
一般的な外反母趾は親指の第2関節から外反するものがほとんどですが、最近ではIP外反母趾も目にする機会が増えてきました。
IP外反母趾は子どもの足でも例外ではなく、親御さんからの外反母趾変形の相談でお子さんの足を診ると、以前よりもIP関節外反母趾が目立つようになってきました。
一般的には、IP外反母趾の原因は不明とされています。
以前、子どもの足をテーマにした講演会に出席した際に、足の専門医にIP外反母趾の原因について質問したことがありました。
専門医は「はっきりした原因は分からないが、小さい頃に窮屈な靴を履いて親指の先端が圧迫され続けたからではないか」という回答でした。
その時は専門医の説明を納得するしかありませんでしたが、今では次のような考え方に変わりました。
『第2関節外反母趾は、指を使って歩いていないことによる足の退化が原因で後天性のものだが、IP外反母趾は骨の変形による先天性のものである』
そのような考え方に変わったのは、IP外反母趾のレントゲン写真を見た時からです。
小学生のお子さんの外反母趾を心配したお母さんが、他院で撮影したレントゲン写真を持って外反母趾研究所にいらした事がありました。
お子さんの足はIP外反母趾でしたがレントゲン写真をよく見ると、親指がIP関節から外反しているのではなく、親指の末節骨(先端の骨)そのものが外反変形していました。
IP外反母趾は骨の変形による先天性のものなので、保存療法による形の改善は困難と考えています。
第2関節が外反母趾でなければ、そのまま経過観察をするしか方法がないと考えています。
(左がIP外反母趾:右が一般の外反母趾)
もし、第2関節にも外反母趾が合併しているケースであれば、第2関節外反母趾の進行を防ぐことにフォーカスするべきだと考えています。
なぜなら、IP外反母趾があった場合は第2関節が少し外反しただけで親指が第2趾を強く圧迫してしまうからです。
外反母趾研究所 代表 古屋 達司